ナイロン、特殊ゴム、そしてそれを結着させているPU。
この3つの素材から構成される「5重層生地=アリン生地」は、苦難の末に誕生しました。
強靭な生地で完成した工具袋は、
商標を「アリン」工具袋として、大々的に売り出しました。
今まで市場に無かった物、そして積年の悩みを解消してくれる物。
多くの方が手にして頂き、
当時は「アリン」=基陽の工具袋とまで広がりました。
市場には似た商品が現れ始めました。
しかし、ナイロン生地を高密度で使用している「アリンバッグ」は丈夫で長持ちとの定評がありました。
しばらくして、ある一人のお客さんから苦情が入りました。
「気に入って使い込んでいたら底が抜けた。見た目はキレイなんだけど」
実物をお送り頂くと、確かに底の縫製が外れていました。
でも、傷一つなく、外見は綺麗です。
具体的にお客さんにお尋ねすると、そこには製品改良への大きなヒントがありました。
「最近の工具袋は、生地がすぐダメになる。
高い所で仕事をしているので、
安くても品質が悪くては大変困る。
まあ、生地の悪いモノは次回から買わなければいいだけなんだが。
しかし、基陽さんの工具袋はどこも生地が傷んでいない。
それなのに縫製部分が破れ出した。
これって縫製の不良とは違うのですか?」
なるほど、生地の傷みが早いものは次回から買わなければよいのです。
しかし、生地が綺麗なのに縫製が外れると、
不良品じゃなかったのか?と思うようでした。
生地に負けない縫製技術を生み出さないと、宝の持ち腐れです。
それからはミシンとの格闘でした。
たくさんの試作品の山を築きながらやっと誕生した技術が、
後に特許縫製と呼ばれる、基陽の要となる技術でした。
次回は「5段階縫製」について書きます。
これからもよろしくお願いします。
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