こんにちは、山崎です。
今回は前回に続き「ハーネスの規格」についてです。
【ハーネスの規格~その②】
ハーネスの規格はJISで厳格に規定されています。
その内容は「JIS T 8165」という書類に書かれています。
ネットで検索すると見る事が出来ますが、今回はそれを抜粋してご案内します。
(冊子の順番に書いていきます)
まず冊子には、【用語】や【定義】について書かれています。
「フルハーネス」「ランヤード」「U字つり」など、業界の言葉が定義づけられています。
そして、次に【種類】。
ここでは各々の形が図解され、各部品の名前も表示されています。
ここまでが、本でいうなら「序文」です。
その次は、本題の【性能】について書かれてます。
【性能】は「強度」で示され、測定方法は「引っ張り試験機」というものを使用します。
人の背丈より大きな機械で、調べたい部品を機械が自動で、ゆっくり引っ張っていきます。
引き千切れるまで引っ張って、限界を求めます。
ハーネスの【帯】部分は、「15.0kN」<strong>(*1)</strong>以下で破断してはいけないとされています。
これは、従来の胴ベルト式と同じ数値です。
そして、更にハーネス全体では11.5kNで破断しない事が求められています。
検査の方法は、肩の辺りと脚の辺りを縦方向に引っ張っていきます。
ここで求められているのは、縫い合わせ部分の強度です。
11.5kNは約1,100キログラム相当になります。
という事は、ゆっくり引き上げた場合、70キログラムの体重の人が、
約15人ぶら下がっても耐えられる構造であるということになります。
次に【構造】について書かれています。
ハーネスの「帯」の幅ですが、フルハーネスは40mm以上とされています。
胴ベルトが50mm以上とされている事と比べると少し細くなっています。
全身に巻きつける構造なので、少し負担が軽減される事はうれしいですね。
胴ベルト式とは「幅」が違いますので、従来胴ベルト式で使用していた「環類」や「留め具」は、
ハーネスには使用できなくなります。ご注意ください。
この後、JISの記載は【材料】を指定したのち、【試験】【検査】へと進みます。
【性能】で示された数値の【試験】方法、【検査】方法を、
同じ番号を使って関連付けた書き方にしてあります。
ここで、規定の人型おもり(トルソー)を取り付けての落下試験が書かれています。
85キログラムのトルソーを取り付け、1500mmだけ落下させて、
その時に発生する衝撃の値を測定します。
衝撃の値は身体に与えるダメージですので、少ないほど優秀です。
規定では8.0kN以下<strong>(*2)</strong>であることが求められています。
これら試験をクリアした規格のものが、製品として市場に出ていきます。
以上、簡単ですがハーネスの規格について2回にわたってご案内しました。
次回はハーネスの最新情報についてです。お楽しみに。
山崎でした。
*1.物理の時間に出てきた「kN、キロニュートン」という単位で安全帯は検査されます。我々がよく使う「キログラム」に換算すると15kNは1530キログラム相当になります。
*2.衝撃吸収性と呼ばれる値です。8.0kNは800キログラム相当の重さに匹敵しますので、ハーネスの様な身体全体で衝撃を受ける構造は安心です。
[次の記事はこちら!][ハーネス最新機能編]①何かと嬉しい鳶忍者[ハーネス最新機能編]②ぞくぞく安全安心のために[ハーネス最新機能編]③進化を続けるハーネス[前の記事はこちら!][ハーネス規格編]①厳しい規格のもとで(前編)