最も多い死亡労働災害は「墜落・転落」です。2018年では、日本国内で256名の方が「墜落・転落」の事故で亡くなられています1)。
また、高所作業における死傷者数も2万人を超えています。
また、2008~2017年の10年間で、胴ベルト型安全帯を使用していたにも関わらず、落下時に身体が圧迫され死亡した事例が6件ある 2)など、命を守るためには、より安全性の高い製品の使用が求められています。
高所作業における安全保護具の「安全帯」の名称が「墜落制止用器具」に改められます。
それに伴い、墜落制止用器具として認められる製品は以下の通りです。
※現場では従来通り「安全帯」の呼称を使用することは問題ありません。
2m 以上の高所作業3)において、フルハーネス型の使用が原則となります。ただし、フルハーネス型を使用すると墜落時に地面に到達する恐れのある場合、6.75m以下であれば、胴ベルト型(一本つり)を使用できます4)。
墜落時は、ランヤードのショックアブソーバ(衝撃吸収装置)が作動し、ロープが伸びます。ショックアブソーバに作業床からの落下距離を記載しておりますので、ご使用になる作業床が、墜落時に地面に到達しない高さであることをよくご確認ください(フックを作業床から85cmの高さに掛けた場合の落下距離で計算しています)。
インターロック機能のある巻取式ランヤードを使うと、落下した時にロック機能が作動し、より落下距離を短くすることができます。比較的低所での使用に推奨されます。
■参考文献
・墜落制止用器具の安全な使用に関するガイドライン:厚生労働省,
https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000212834.html
フックを掛ける位置が低いと、落下距離が大きくなり、身体にかかる衝撃も大きくなります。フックを掛ける位置は、作業床から85cm以上が望ましいです。基本的には「第一種ショックアブソーバ」をもつ「Type1ランヤード」を使用しますが、鉄骨組み立て作業等において、やむを得ずフックを足下に掛ける場合は「第二種ショックアブソーバ」をもつ「Type2ランヤード」を使用します。両方の作業が混在する場合は、フルハーネス型を選定するとともに、「第二種ショックアブソーバ」をもつ「Type2ランヤード」を選定してください。
※自由落下距離1.8mで墜落を制止した時の衝撃荷重が4.0kN以下の性能
※鉄骨組み立て作業等において
※自由落下距離4.0mで墜落を制止した時の衝撃荷重が6.0kN以下の性能
※胴ベルト型には使用できません。
墜落制止用器具/フルハーネスを着用して作業を行う者は、特別教育(学科4.5時間、実技1.5時間)の受講が必要です。
※高さが2m以上で、作業床を設けることが困難な場所において、フルハーネス型の墜落制止用器具を用いた業務(ロープ高所作業を除く)を行う作業者が対象。
規格改正に伴い、2019年8月1日までに製造された旧規格の安全帯は、墜落制止用器具の規格とみなされ、2022年1月1日まで使用可能となります。