今年は基陽が不惑の年を過ぎ、安全帯の製造開始からも15年経ちました。今期は安全帯の名称が“墜落制止用器具”と変わります。胴ベルト式が主流だった市場が大きく変わります。実際に使われる建設マン達に聞くと、フルハーネスには様々な意見があります。私たち基陽は、「先ずは安全帯を着けていただきたい」この思いから安全帯製造を始めました。
こだわりをもって、お客様の声を聞きながら、工具袋を作っていました。KHの工具袋は「丈夫だ」とか「かっこいい」と言っていただけるようになっていた時に、その工具袋を使っている建設職人の現場で様々な事故があるという話を聞きました。
最も多いのは墜落、滑落事故。事故の後は大怪我をして仕事ができない、あるいは命を落とすような重大事案です。15、6年前は安全帯を着けない人も多くいました。「俺は落ちないから」と言い切る方もいました。
じゃあ、先ずどんな安全帯だったら着けたいと思っていただけるか。軽くて動きやすくて、かっこいい。着けて誇りに思える安全帯を目指し、お声を聞きながら作ってきました。NO.1ものづくり大賞やグッドデザイン賞金賞をもらった安全帯もあります。その安全帯が墜落制止用器具と名前が変わり、規格も変わっていく。
ただ、わたしたちの目指す所は変わりません。同じです。フルハーネスタイプに変わっても、着けても動きやすいもの。かっこいいデザインのもの。それらを続けて、更に使いやすいハーネスの可能性を考え続けます。
ちなみに『四十にして惑わず』は、実は「不惑」ではなく「不或」という説も。これは「四十にして“くぎらず”」。要するに、「自分を限定せず、もっと可能性を広げなさい」ということだそうです。
わたしたち基陽のロゴ、KHも、ロゴの前後に◯と△を付けています。これは、「◯と△を組み合わせるとあらゆる形ができる」という意味からきています。KHは光剣・鉾(こうけん・ほこ)の頭文字をとっています。光剣・鉾は安寧をつかさどる神事で使われる安全を祈願する道具です。
KHロゴには安全を祈るという意味があります。お声を聞いて安全安心をカタチに。わたしたち基陽は新しい期もこのミッションを胸に進みます。
そして、「KHとは?」をわかりやすく伝えるマンガができました。HPをご覧ください。
◆寡黙な建設マン◆
先日、新神戸駅で建設マンとすれ違いました。「ご安全に」とお声かけて、ふと腰を見るとKHがずらり。声をかけて呼びとめましたが、まあ無口な方。ほぼ目で語っておられました。
藤「職種は?」
建「・・・」
ヘルメットのお会社名を見て、
藤「保温工さん?」
建「・・・」(目をぱちり)。
藤「どこでKH買われたんですか? 神戸?」
建「・・・」
藤「大阪?」
建「・・・」
藤「え~と、姫路?」
建「・・・」(目をぱちり)。
でも、話し(?)終って、別れる間際に、にっこり笑って「ありがとう!」。史上最強(?)ほどの寡黙さ!ここが建設マン、建設職人のわたしが一番好きな所です!今日も、ご安全に!
藤田 尊子