春と夏の年2回、皇居前のパレスホテルで全国の経営者約600人が集まる日本経営合理化協会主催の『全国経営者セミナー』があります。時代を代表する実務家、起業家、専門家、政治家30名以上が講師陣となり、時代の流れの捉え方や、経営者はどうあるべきかを考える熱い3日間です。
基陽は、10年以上前からその経営者セミナー用のバッグを作っています。そもそもの始まりは、私自身がそこで勉強していた折に、主催者の方に「特許も取ってる工具袋の技術を活かして、セミナーバッグを作ってみたらどう?」と仰って頂いたことでした。
セミナーでは様々に重厚な資料が配られます。工具袋の生地や縫製技術などを活かしてセミナーバッグを作ることにしました。
セミナー毎に新しいバッグを作り、10年で延べ1万人の方に使っていただきました。以前のデザインのセミナーバッグをずっと使い続けてくださっている方を駅や街や講義で見かけると、本当に嬉しくありがたく思います。
今回、2021年7月度のセミナーで特に印象深かったのは、『世界標準の経営理論』の著者、入山章栄(いりやまあきえ)さんの話でした。
『世界標準の経営理論』は株式会社 ワークマンを拡大成長させた土屋専務が「10年間で読んだ300冊のビジネス書の中で、一番すごいと思った」と紹介していた本です。
「不確実の時代であり、コロナ後も本質は変わらない。6Gで本当に世界が繋がる時代が来ており、言葉の壁がなくなることで日本の大学の半数が無くなる。知の探索と知の進化の両方が重要」という話でした。また「正式な分析よりも納得感、腹落ち感でチームを進める」という理論の紹介があり、「ハンガリーの偵察部隊が、アルプスで遭難した。死の恐怖の中、ある隊員がポケットから地図を見つけた。地図を見て落ち着きを取り戻し、これで帰れると下山を決意する。猛吹雪の中、地図を手に大まかな方向を見極め、無事に下山に成功した。戻ってきた隊員が握りしめていた地図を見て、上官は驚く。地図はアルプス山脈の地図でなくピレネー山脈のものであったからだ。」
正しいことよりも、納得感のあることに組織が柔軟に意思決定し、行動していくかに大きな示唆をあたえる話だと感じました。
毎回このセミナーに参加し、様々な講義や経営者の方と出会うことで、私は多くの刺激を受けることができ、学びを得ていると感じています。
また、毎回新しいセミナーバッグを作らせていただき、使っている方のお声も伺えるということで、励みにもなっています。