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2017.09.20工具袋( 腰袋 釘袋、ウェストバッグ、ネイルバッグ)について

  • まず、袋・かばんはいつ生まれたのでしょう。

    文献には残っていないようですが、江戸時代には木製の大工道具箱が多かったようで、他にはのみ巻きのような形の巻き袋や、手道具を入れる袋でした。

  • ↑『春日権現験記絵』縁起物として、中世の絵巻物に「番匠」(ばんしょう・室町時代頃までの現代大工職の前身)と呼ばれた人びとが道具を使い仕事をする風景が多く描かれ残っています。(差し金や、鑿、木槌、墨つぼなどの現在も使用している道具が見られます)

    そして、江戸時代は今でいう袋状のかばんは胴乱と呼ばれていました。

    「鞄」という漢字は「革」と「包」でわかるように、日本のカバン・袋はもとは風呂敷のようです。

    鞄の字は明治時代に出来た国字です。現在は「かばん」と読みますが、明治以前は革職人の意味でした。

    かばんという言葉もオランダ語の「カバス」中国語の「キャンハン」「キャバン」が由来のようです。

    風呂敷が信玄袋のような形になり、前掛けやのみ巻き のような形へと変遷していったのは、必要とされて生活の中で変わっていった『用の美』に通じる部分があり、とても興味が湧きます。

    自然発生的に出来あがってきたかばん、そして生活道工具を入れる袋。

    変遷は文献にもあまり残っていないようなので、想像すると歴史上の人物や、時代によって必要とされる背景が投影されていて面白さが募ります。ワクワクします。

    さて、現代。

    道工具を入れる袋は、布製か革製でした。

    布製。丈夫な布の代表の帆布。日本で最初に使われた帆布は、織田信長の帆船とも言われています。

    帆布はとても丈夫で、撥水性もありますが、じわじわ水分が沁み込み、袋内の道具に錆びを起こさせることがありました。

    革製。革は特に牛革が高級ですが、定期的な手入れが必要となり、使い方によってはカビが発生したり、日光に弱い特性があります。また布と同じく、水分が沁み込むことで内部の道具を痛めさせることがありました。

    昭和50年代。高度成長期も経てもっと革新的な良い道具袋は世に生まれないのか、職人さんから渇望され始めていました。 

    そして、兵庫の金物の町、三木に、職人さんの声を聞き「どうにかしたい」と思っていた者がおりました。

    株式会社基陽創業者、藤田基弘です。

    藤田はとても聞き上手でした。毎日「藤田はん、話聞いてえな」「藤田はん、来たよ」と多くの彼のファンでもあるお客様が訪れていたそうです。

    優しく、時にとても厳しい。

    それは、困りごと解決にも表れていました。

    『どうにか新しい工具袋を作り上げ、喜んで貰いたい』

    丈夫で水分にも強い。摩擦にも裂傷にも強く、過酷な扱いにも耐え得る素材。

    …時間をかけ苦心の末、作りだされたのが『アリンストロング生地』でした。

    『アリンストロング生地』は、五重層生地で内部に特殊ゴムを配する堅牢な生地となり、摩擦や突き刺しにも大変に頑強な仕上がりとなりました。

    藤田はアリンストロング生地を使い、ウェストバッグ(腰袋)・ネイルバッグ(釘袋)を世に送り出しました。

    発売してから、何年かすると別の困りごとが届き始めました。

    「丈夫なのに、ほつれる」

    職人さんから、戻ってきたウェストバッグをよく見ると、縫製面がほつれていました。

    使いこまれていても、生地は堅牢で傷んでいない。ほつれているのは、縫合面。

    「うむ、そうか…」すぐに藤田は五段階の縫製による工夫をし、特許を取得した、アリンストロングウェストバッグ・ネイルバッグを発売。

    堅牢なのは、もう当たり前。そして、デザインと色の多様性で、アリンストロングウェストバッグシリーズは業界を席巻しました。

    生地も、縫製も、丈夫に。そして喜んで頂きたい。お客様に優しく、そして品質に厳しく。その魂は、現在にも受け継がれています。

    さて、業界を席巻したアリン生地使用のアリンストロングウェストバッグシリーズ。少しずつ、似たような工具袋が業界に出てきました。

    ナイロン製。ポリエステル製。デザイン、色は とても似ているので、見た目はほとんど変わりません。

    藤田は、考えました。

    「これは、職人さんには不便ではないだろうか。」

    店先に、似たようなウェストバッグとネイルバッグ。

    見た目が同じなら、価格で判断されます。

    「どうすれば、本当に安心で丈夫な腰袋や釘袋が使って貰えるのだろうか」

    そして比較強度試験を行ない、品質把握を第三者機関に依頼することとなりました。

    同じく店頭に並んでいた工具袋5種類。

    引っ張り試験と突き破り試験を比較すると、KHの製品はいずれも安心の数値結果となりました。

    堅牢が必然のKH。そしてデザインと色の多様性と長持ちすることで、喜んで頂きたい。

    お客様につかいやすく、そして品質に厳しく。その魂は現在にも受け継がれ 大事にされています。

    さて、業界を席巻し、新たな価値観を生み出した、KHアリンストロングウェスト&ネイルバッグ(工具袋)シリーズ。

    発売期間を経て、少しずつ職人さんのお声も変わってきました。

    KHはアンケートハガキを2000年に導入。

    毎日、届くハガキのお声には「ありがとう」もあり、もちろんお叱りの声も。そして、もっともっと!と新たなバッグや工具の誕生を望む声と。

    その中で

    「工具が落ちない腰袋を作って」「工具が取りやすい釘袋を作って」

    たくさんありました。

    …さて?

    落ちにくいなら深くすれば良いのだろうか。取りやすくなら浅くすれば良いのだろうか。…職人さんに聞きに行こう。現場へ行きました。

    「なんや~、そんなことか~」と職人さん。

    「ポケット、見てみろ、ほら。」

    …ああ、そうですね!

    そして、斜めカットのKH進化シリーズは生まれました。